Japan Society of Circulation Control in Medicine

前理事長挨拶

九州大学大学院医学研究院外科学講
麻酔・蘇生学分野 教授
山浦 健

「日本循環制御医学会」は1980年に誕生し、初代理事長は徳島大学医学部麻酔科学教室の斎藤隆雄教授が務めた。 1994年に北海道大学医学部麻酔科学教室の劒物修教授、2003年から九州大学大学院麻酔・蘇生学の外須美夫教授、 2012年から福井大学医学部麻酔・蘇生学講座の重見研司教授が理事長を務め、2021年3月から山浦が引き継いでいる。

周術期における循環制御をテーマとして始まったこの学会も、周術期医療に留まらず、循環器内科医、循環器外科医、 生理学者、薬理学者が集う、学際的で横断的な学会となった。このような、多分野に渡る専門家が一堂に会する医学会はあまりなく、 日頃頭に浮かぶこともない、それぞれの分野の最新の臨床や臨床研究・基礎研究の動向を知ることができ、大変興味深い。 この規模の学会であれば、お互いの顔が見えやすく、気軽に情報交換しやすいのも利点である。

ややもすれば臨床技術の習得に傾きがちな現在の医師にとっても、循環生理や最新の循環研究の動向を知った上で医療に臨むことは重要であり、 是非Physician scientistを目指して頂きたい。循環制御医学会は、そのような場であり続けたいと思っている。 また、基礎研究者にとっても、最新の臨床および臨床研究に触れることで、研究のヒントが生まれるのではないか。 そのような臨床と基礎との橋渡し的な役割を担う貴重な学会を目指して、学術集会と学術誌「循環制御」の充実を目指していきたい。 会員の皆様のご協力とご指導を賜りながら、循環制御を通して医学・医療の発展に貢献したい。

前理事長挨拶

福井大学医学部器官制御医学講座
麻酔・蘇生学講座教授
重見 研司

平成24年6月、九州大学医学部教授外須美夫先生から理事長を引き継がせて頂きました。

日本循環制御医学会には34年の歴史があります。主として、 全身麻酔中や集中治療中等の急性期の血液循環を維持するために必要な知見を研究することが当初の目的で、 心機能や血管抵抗、血管容量、血液量など、循環調節機構の理解が不可欠でした。学問も医療技術も進歩し、 低侵襲の出血が少ない手術方法も開発され、新しいモニタ器機や新しい薬剤の創出も相まって、 全身麻酔は飛躍的に安全で快適なものになり、集中治療室での治療体制も変化してきました。
しかし、たとえば心前負荷を定量的に示すのはガイトンの定義した平均循環充満圧(MCFP)でしょうが、まだモニタする方法がありません。
一方、循環器内科学領域においては、心不全や不整脈、高血圧症等への対処が循環制御医学会のテーマとなりやすのですが、 そういったアイデアは麻酔中の急変時の対処にも応用でき、手術室内と監視室間のデータの通信等は、手術室および集中治療室の外や在宅医療にも応用できます。
相互に情報交換して、よりよい医療体系を構築していきたいと思います。
このように、一朝一夕には解決できない地味な努力を必要とする課題が山積しています。 また、活発な学会活動には、若者の力が是非とも必要ですが、会員の減少が学会の運営に大きく影響しています。 衆知を結集して、灯台の火を守らなければなりません。試行錯誤も右往左往も、目的は一点、より良い医療のために、 深遠で科学的な問答に花を咲かせる楽しみを皆で分かち合いたく存じます。

何分、若輩者で浅学菲才の身です。この一年、将来構想ワーキンググループを立ち上げ、検討を重ねて参りました。 このメンバーをコアとして、様々なアイデアを提案する予定ですが、会員皆様のご支援が何より大切と考えています。 何卒宜しくお願い申し上げます。

前理事長挨拶

九州大学大学院 麻酔・蘇生学
外 須美夫

「日本循環制御医学会」は1980年に誕生した。初代理事長は徳島大学医学部麻酔科学教室の斎藤隆雄教授が務めた。 1994年に北海道大学医学部麻酔科学教室の劒物修教授が理事長に就任し、2003年から私が引き継いでいる。

本学会は、循環管理に興味を抱く麻酔科医の中から、麻酔科医として成長するためには循環制御に精通する必要があり、 かつ周術期の循環管理や循環制御を麻酔科医だけで論じていては限界があるという認識のもと、集学的で学際的な場を求めて発足した。 その後、麻酔科医、循環器内科医、心臓血管外科医、生理学者、薬理学者らが参集し、専門分野にとらわれず、 循環器領域のダイナミックな制御に関する学術研究を発表・討論しあう場として存在してきた。
内科・外科・基礎医学部門の第一線で活躍される人たちの参加を得て本学会は発展してきた。 しかし、1996年の日本心臓血管麻酔学会の設立により本学会の規模が縮小され、再度学会の目的や役割が問い直されている。 新理事長として、何か新しいアイデアを取り入れていきたい。また、日本心臓血管麻酔学会との共存のための努力を惜しまない。 もっと言えば、本学会の原点をもう一度見直して、新しい再生のエネルギーが生まれる土壌を作りたい。そのために必要なことは何か。 麻酔科医への呼びかけと他領域への拡充が必要である。学際的であろうとするなら、それを徹底することも一つの道である。 そのために循環制御学なる領域をカバーする新しい人たちの参画を得たい。

私は若くはないがまだ私に残されている若気を発揮して本船を漕ぎたいと思う。途中で漂流するか難破するかもしれない。 諸先輩がた、理事、評議員の貴重な舵取りのアドバイスがなければ船は真っ直ぐ進まないだろう。 なにより、会員の皆さまの育てる気持ちがなければ何をしても無駄だろう。皆さまの育てる気持ちが育つような学会を目指して、微力ながら努力したい。

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